「心淋し川」西條奈加著

心淋し川 読書
心淋し川

西條奈加 「心淋し川(うらさびしがわ)」集英社文庫
北海道出身 第164回直木賞受賞作品

心淋し川ほとりの心町(うらまち)の住人が織りなす、せつないながらもちょっと暖かいお話。そして最後のお話へと流れ込んでいく構成力。

目次

心淋し川(うらさびしがわ)
閨仏(ねやぼとけ)
はじめましょ
冬虫夏草(とうちゅうかそう)
明けぬ里(あけぬさと)
灰の男(はいのおとこ)
解説 細谷正充

心淋し川(うらさびしがわ)

十九歳のちほは出入りの仕立て屋で知り合った上絵師の元吉と半年ほどの付合いだ。もう少しで長屋から抜け出せそうなのに、煮えきらない元吉。そしてついに恋を諦めたちほの前に立ったのは、というお話。
ちほの心の動きが細やかだなあ。

閨仏(ねやぼとけ)

とんでもない手慰みが仲間と生きる糧になるというお話。
人の心の奥には何が潜んでいるのか。
最後は開き直って明るい。

はじめましょ

心町で飯屋「四文屋」を営む与吾蔵は捨てた女が歌っていた唄を知っている子供と知り合う。自分の子だろうか。
よじれた糸をほぐした時に、もういっかい、はじめましょ。

冬虫夏草(とうちゅうかそう)

下半身付随の我儘息子にひたすら尽くす吉は、かつては大店の奥方だった。
どんないきさつだったのか。これからどうなるのか。
差配の茂十との関わりとは。

明けぬ里(あけぬさと)

女郎上がりのようは身ごもっている。ある蒸し暑い日に難儀しているところで、昔の同僚である明里に再開した。自分とは大違いな大店へ落籍される明里。昔のことが思い出される。
突然の明里の心中に、ようは明里の本心を悟った。

灰の男(はいのおとこ)

心町の差配を一二年続ける茂十は昔、町奉行所同心であった。その数奇な話と、他の話の主人公たちとのふれあいが綾なす人情の愛しさ。

解説 細谷正充

はじめにここを読んでいたら、自分の感想文など書けはしないと思った。正にプロの解説文章である。最後で良かったなあ。この投稿でも最後だし^^

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